昨日の抽選会に手塚が現れたって話は、すぐに大石からみんなに伝わった。

 

手塚が帰ってきた。

それはとっても嬉しいコト。

そう、とっても嬉しいコトなんだよね。

 

でもね。

でもね、手塚国光クン。

どうして君はそれを僕に教えてくれなかったのかな?

まさか僕まで大石からの情報で君の帰還を知るとは思わなかったよ。

 

僕は嬉しさよりもそのことで頭がいっぱいだ。

どうしてくれよう。

さぁ、どうして貰おうかな。

 
 

「不二、さっきから顔が恐いんですけど」

隣にいた英二が、ため息をつきながら忠告をしてくれた。

「ん、ありがと。僕もまだまだ、だね」

いつもどおりの笑顔を顔に貼り付けすぐに復活してみせる。

「相変わらず良く出来るね」

「お褒めにあずかり光栄デス」

お礼に天使の微笑みと誉れ高い微笑を菊丸英二くん、君にあげよう。コレ筋肉の調整難しいから結構疲れるんだけど。今日は特別に君にあげる。

「……うげ」

「英二くん。その反応は僕に対して失礼だよ?」

「今日の不二は絶好調で機嫌悪いにゃ……手塚かわいそ〜」

「可愛そうなのは僕だよ!愛しいラヴァー(手塚国光14歳)が九州なんかにいっちゃって。あ、しかもその時も僕に無断で、だよ!!僕一言も相談なかったんだから!まあ、その時は許してあげはしたんだけどね。ハニー(手塚国光14歳)の身体が第一だもん。大切にしないと。それにさ、やっぱ遠距離恋愛って少し憧れてたから。愛しあう二人の仲は一度は引き裂かれておくのがお約束。それが二人の絆をさらに高めあって、えへへへ。それに会えないと会いたくなるもんじゃない?手塚の胸が夜毎僕のこと思い出してきゅるるん♪って高鳴るの。そんなの想像しただけで……ああん、もう手塚可愛いたら!!」
 

恋は人を盲目にするという。そんな言葉を菊丸英二は思い出した。

不二も寂しかったんだよね。

ここは俺が大人になって不二の寝言は無視してあげよう。

突っ込んでは駄目にゃ……。決して、遠距離といっても不二は週末には何かにつけて九州いってなかったけ?とか。別の意味で手塚の胸は高鳴って痛んだと思うよ、とか可愛いのは不二のオツムにゃ、とか言ったら駄目ニャ。

今の不二に不興を買う、そんな事したら俺のハートフル学園ライフが平穏無事に過ごせなくなる!不二は意外とねちっこいから中学……いや高校生活終るまで嫌がらせをされ続けることになるにゃ。

だから絶対駄目ニャ!動くな手!開くな口!

でも誰か!誰かこの阿保に突っ込んでやってくれにゃ!!!

 

「馬鹿かお前は」

 

よぉし!ナイス!!菊丸英二現在中学三年生は心のなかで生涯最高のガッツポーズを決めた。

そしてその愚か者の顔を見ようと振り向いた。

「あ!」

 

次の瞬間、不二と菊丸の声が綺麗にハモった。

「手塚!!」




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